My Own Life Is Rubbish

主にライブレビューや音楽のことについてのブログです。

[2016.7.23]FUJI ROCK FESTIVAL 2016 Day2

フジロック2日目。昨日あんなに夜遅くまでライブを観てたのに、幸か不幸か朝イチから観たいアクトがあったので無理やり身体を起こして身支度を整える。(というか朝の日差しでテントの中がめちゃくちゃ暑くなるから嫌でも起きる。)

キャンプサイトに隣接してるレッドゲートから入場。途中でトルコ風アイスを売ってるお店が目に入ってついつい買ってしまう。 

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  • 10:20〜 Red Marquee Homecomings

 

というわけで私が2日目のトップバッターに選んだのは京都発逆紅一点ギターポップバンドHomecomingsである。今年発売された傑作の2ndアルバム『SALE OF BROKEN DREAMS』(アルバムのアートワークも強く印象に残ってる)を引っさげてのフジロック出演だ。

アルバムのリード曲であるDON'T WORRY BOYSからライブは始まり、前日の疲れや睡眠不足を吹き飛ばしてくれるようなこれまた午前中にぴったりな心地よいギターポップがマーキーを包み込む。これで完全に彼女らの流れでライブが進むと思いきや、個人的には中々乗り切れずれずにいた。うーむ、Homecomingsライブは微妙かなと思いかけたところで2ndアルバムからBUTTERSANDが披露され、ここでやっと自分のイメージと合致し始め、だんだんと心地良くなってきた。一際歓声が上がったのがやはりその次に演ったHURTSで、私にとっても、その場にいた多くの人にとってもHomecomingsの存在を知らしめた一曲であろう。どこまでも清々しくて、そして少し切なさを含む、そんな彼女らの楽曲の世界観は十分に伝わってきたけど、ライブ全体の感想としてはまだまだ余力を残しているなという印象。しかしまた観たいという気持ちも同時に湧いてきて、次はぜひとも100%満足させてもらいたいなと思う。

 

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Homecomingsが終わった後は、グリーンステージにて友人からぜひこれは観てくれと頼まれたWANIMAをオアシスで買ったカレーを食べながら観る。ワンチャンワンチャン言ってる気色悪いメロコアバンドぐらいなイメージしかなかったが、ライブを観て色々と納得。一見テキトーに見えるMC(たぶん本当にテキトーだけどw)で自分たちのペースを作りつつ、一旦演奏が始まるとそのテキトーなMCとのあまりのギャップにビックリしてしまうが、非常に心を揺さぶるエモーショナルな演奏を展開するのだ。今のWANIMAなら日本中どこでもホームにしてしまうだろうなと予想するのは簡単である。人気がある理由も分かった気がした。かといって次また観るかと言われたら観ないけどw

 

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  • 13:10〜 White Stage Vant

 

次に私が観にきたのはアルバムデビュー前のまだシングル数曲しか発表していないVantというUKガレージロックバンドである。今年はフジロックを見ても、サマソニを見てもギターロックをやるバンドがほとんどいない状況だったので、なんやかんやガレージロックが好きな私は、直前の発表ではあったが迷うことなく彼らの初来日の勇姿を見届けることに。

先ほども言ったようにアルバム未発売の新人なので、序盤は全くの初見という曲が続く状況であったが、その割には退屈することは一切なく、むしろ非常にタイトな演奏を見せつけ、ポテンシャルの高さを示した格好だ。こうなってくるとそのうち発表されるだろう1stアルバムに否が応でも期待がかかってしまう。とはいっても盛り上がるのはやはり発表済の既存曲で、かなりの疾走感があるParasiteが始まると一気に会場のテンションがもう一段階上がった。(ちなみにThe LibertinesでいうとMaydayを連想させるような曲。)そこからさらにラストに向けてシングル曲の連打で前方ではいつの間にやらモッシュピットが出来上がり、砂埃が舞い上がるほどに!笑 初々しさはもちろんあるのだが、とても初来日の新人バンドとは思えないパフォーマンスを終始見せてくれたと思う。ぜひとも早いうちにアルバムを完成させてまた日本に戻って来て欲しい!

 

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その後またレッドマーキーに戻って来て、大森靖子を見る。リハーサルのときから登場していたのだが、いきなりバンプ天体観測を演奏し始める謎展開www このときからすでに普通のライブにはならないだろうなという予感はしていたが、パフォーマンスについては圧巻の一言。まるで演説のような「さようなら」からライブが始まり、J-Popと邦ロックの要素に彼女の独特な世界観がふんだんに付け加えられた楽曲群が次々と展開されていく。生まれながらの表現者とは彼女のことを言うのかと大森靖子は身振り手振り・表情・声の抑揚、使えるものをすべてフルに使ってステージ上で表現しているのだ。まさかここまで自分が彼女のライブに引き込まれるとは思っていなかったが、TRAVISを観に行くために途中で抜けることを忘れるくらいステージに集中していた。友人に肩を叩かれ、そう言えばそうだったと思い出し、結局途中で抜けるも、正直最後まで見てれば良かったなと少し後悔。大森靖子凄まじいアーティストだった。(しかし次の日少し話したお姉さん方には大森靖子は苦手って言われたw)

 

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ということでTRAVISを観にグリーンステージにやってきたのだが、ここで今年のフジロックでの1番の大失態を起こすw

初めてのフジロック参戦なので、フジロックTRAVISを観られるなんてめっちゃフジロックっぽいやん〜とかなり楽しみにしていたのだ。それに加え今日はVo.フランの誕生日で客席にダイブしたフランがお客さんに祝われるというなんともピースフルなサプライズも起こる。こんな大自然に囲まれながらTRAVISを聴けるなんてほんとフジロック来てよかったよ〜なんて思ってると、あれまあれまと視界がぼやけ始め、妙に気持ちよくなって、気づいたときにはなんとFall asleep。TRAVISの演奏の大部分を寝過ごす格好に!!!起きたときには最後の一曲、UKロックを代表するアンセム「Why Does It Always Rain on Me?」。この曲のときだけでも起きられたことで良しとするしかないか。。。最高に気持ち良い時間でした😭

 

  • 17:20〜 Green Stage Wilco

 

本日は早くもトリ前という時間になったが、ここでアメリカン・オルタナティブ・ロックの至宝ウィルコがグリーンステージに登場である。といっても私はウィルコについての知識を全く持っておらず、タイムテーブルが発表されたから予習をちょっとしたという具合。(ベックの前座くらいに思ってたw)しかし、その予習のときに聞いた『sky blue sky』というアルバムがめちゃくちゃカッコよくて、今現在ビートルズが存在していならば、こんなアルバムを作ったんじゃないかと勝手に現代版ビートルズの称号を与えたほどだ。といっても最近のライブではこのアルバムの曲はほとんどやらないらしい、あれれ。

しれっとメンバーが登場して歓声が湧き上がるが、フロントマンがかなり大きいお腹をしてるせいもあるのか、かなり緩い雰囲気。しかしいざ演奏が始まるとやはりプロ中のプロである。かなり凄そうに見えるテクニックも飄々とこなしてしまう。アメリカ的なフォークサウンドにオルタナの感覚が組み合わさったウィルコの世界観は派手さはないけど、めちゃくちゃ尖っていて唯一無二であると感じた。もっと十分に予習をして、彼らの楽曲との距離を詰めてライブに臨めば良かったと後悔するばかりだが、それにしても最後に演奏されたImpospible Germanyはあまりにも美しかった。

 

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  • 19:30〜 Green Stage Beck

 

そしてとうとうヘッドライナーBeckである!私が重い腰を上げてフジロックに初参戦したのは他でもないこのBeckを見るためである。本当にBeck大好き!なにもかもがかっこいい。めっちゃ好き!本来のタイムテーブルからすると1つ前のスロットであるこの時間帯に登場するのはBeckが新幹線で東京に帰りたいからで、そんなところもBeckらしい。(でも結局間に合わなかったみたいw)

欧米の主要フェスを見てるとBeckがヘッドラインを飾ることはほとんどなくて、2016年のフェスって考えるとBeckは少し弱いのかな?とも思ったりしたが、いざライブを観てみると、そんな心配は全くの杞憂に終わった。

 

Devil's HaircutのヘビーなギターリフからBeckのライブの始まりが告げられる。Beckを語る上で外せない名盤『Odelay』の一曲目の曲でもある。今年のフジロックも20周年目であるが、ということはつまりこの『Odelay』も20周年なのである。続いてGueroからBlack Tambourine、3曲目は既にLoserが苗場に投下される。当然「I'm loser baby , so why don't you kill me ? 〜〜♪」と大合唱が起こる。このloserを初めて聞いて以来私はずっとBeckのファンなのだ。

冒頭の三曲目を始め、序盤はこれぞベック!と言うような「最もイメージが強いベック」といった選曲が続いた。私がBeckを掘り下げるために初めて借りたアルバムが『Mellow Gold』、『Odelay』、『Guero』だったので自身とベックの歴史を辿っていくようなセットリストで少し感慨深いものがあった。もう完全に心を鷲掴み状態である。

 

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なんといってもハイライトは中盤のアコースティックセクションである。先ほど述べた「最もイメージが強いベック」とは違うベックの側面が十二分に披露された素敵な時間だった。ベックをよく知らない私の友人があんま盛り上がってなかったと的外れな感想を述べた以外は多くの人にとってもハイライトとなった場面であったようだ。『Sea Change』と『Morning Phase』の曲を交互に繋いで、Beckのアーティストとしての長いキャリアをも感じさせる構成で、特にBlue Moonが流れている瞬間が最高で、サビの部分の光が扇状に広がるような解放感がたまらなく最高だった。いやぁ、この曲をこの大自然の中聴ける喜びよ。

アコースティックセクションで清められた後はもう一度、アゲアゲのフェスモードに持っていく。昨年の個人的No.1シングル、ベック節満載のファンク・ポップ Dreamsでベックの最新モードを体感させてくれた。話題の新曲Wowが初披露されるサプライズ…なんてのはなかったが、Girl→Sexx Laws→E-Proで最高のテンションのまま本編が終わる。もう大満足だけど、あの曲を聴かないと帰れないぞと。

ステージに再び現れたときは衣装チェンジで黒から白にチェンジ!エンターテイメントを分かっている。細かいことであるが、こういうことを気遣いができるのが他の汗臭いロックスターとは一線を画すのだ。

 

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アンコール一曲目でまさかのDebraという予想をしづらい選曲でまたもBeckにやられたという感じ。そして待ってましたとついにWhere It's At!とうとう楽しい時間も終わりである。「最も面白い場所」という意味の通りに最高のショーの最後を締めくくるのに最適な曲であるに違いない。途中でメンバー紹介を兼ねて、デヴィッド・ボウイやプリンスのカバーを披露し、ベックなりの追悼の気持ちを示していた。最後に再びWhere It's Atに戻り、フジロック20周年にふさわしい大円団を迎えた!最高だった!ベック!

セットリストを振り返れば、一見キャリアを総括するベストヒット的な内容ではあるが、ただ単にヒット曲を演奏するというわけではなくて、魅せ方がやっぱり上手いし、自分がどう見られているのか、そしてどう見せたいのがBeckほどになるとちゃんと整理されているのだと思う。最高のエンターテイメントショーだった!ベック優勝!!!

今年中に発表されると噂されているアルバムも楽しみだし、今度は7年も間を空けずに、またすぐ来日して欲しい!

 

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もうベックで大満足し過ぎて、その後観る予定だったグレン・ミラー・オーケストラも見ずに会場を後にした。ベックも最高だったが、その後に入った苗場温泉もまた最高だった♨️