My Own Life Is Rubbish

主にライブレビューや音楽のことについてのブログです。

MY ALBUM OF THE YEAR 2017

2017年も終わってしまいますね!ということで個人的な音楽総括としてアルバム・オブ・ジ・イヤーを発表したいと思います。ストリーミングの流行によって、CDなどのフィジカルの価値が揺らいでいるというのは昨年の時点で感じていたことですが、今年はDrakeが発表した“プレイリスト”に代表されるように、アルバムって何なんだろうな?という議論にまで発展しました。今までにもそれに似たような事象はあったかもしれませんが、やはり影響力を持つ人が行動を起こすとシーン全体に影響を及ぼすということです。しかしながら、その一方でKendrick Lamarが完壁なアルバムの形を提示して各種メディアの一位を総ナメにするなど、今なお“アルバム”というフォーマットはしっかりとその存在価値を維持しているのも事実だと思います。ちなみこれから発表する私のベストにはKendrick Lamarは入ってないんですが、個人的には前作の方が好きだったというのと、中途半端な順位にランク付けるぐらいなら最初からランキングに入れない方が良いという判断からです。全体的に考えて、2017年はKndrick Lamarの年だと言うのは間違いないでしょう。その他にもEd Sheeranチャート独占事件などもあり、ストリーミングが台頭しつつも、それを受けるメディア側の整備がまだ追いついていないという印象です。

また個人的な音楽との接し方でも、楽しみな新譜があればレコードを注文しつつも、それが届く前に、金曜日に日付が変わった瞬間にApple Musicで聴いてしまうという習慣がついてしまいました。これが意味するのはもはやレコード(CDなど)は自分にとっては“グッズ”なんだということ。完全にデジタル化されてしまったCDよりも、劣化するレコードの方が好き。

 

さて!ALBUM OF THE YEAR 2017を発表します。トップ10と、そこに入らずとも好きだった作品18枚です。私の判断基準はザックリ言うと“サプライズ度”です。何だこれ?って思わせてくれる作品に出会いたいですね。あとは年間敢闘賞的な見方も大きいかな。年の暮れに自分の頭の中に残っているものです。完成度とか正直よく分からないですもの。それにこれだけ莫大な音楽が垂れ流されている現代、新たな価値観を提示する方がずっと価値を持つに違いないと思います。

 

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左上から順に、

  • The Orwells - 「Terrible Human Beings」

2017年も多くのロックバンドがアルバムを出したけど、どれも小さくまとまっちゃているというか、刺激的なロックバンドを見つける方が難しかった。そんな中、このThe Orwellsの新作は、荒々しくて、あっけらかんで、痛快でした。ロックバンドはこうでなくちゃ!

 

  • Temples - 「Volcano」

1stほどの衝撃、そしてメランコリーさはない。しかし、確実にTemplesなりの2017年的アップデートが感じられる作品。Fuji RockでCertaintyが新アンセムになっていることをこの目で確かめた。

 

  • Rodes Rollins - 「Young Adult」

Apple MusicのNew Music Mixで知ったアーティストである。こういう出会いがあるからストリーミング・サービスは素晴らしい。自分はどこか物寂しげさを感じさせるようなアーティストに強く引かれるのかも知れない。

 

  • ゆるふわギャング

これって本当にラップなの?っていう、今時の世界のラップ・ミュージックと共振している、ゆとり世代代表Hip-hopユニット・ゆるふわギャング。今日本で、最もスリリングで、エッジが効いている音楽だと思う。MC二人のキャラも立ってて最高。

 

自分が知っているGorillazってこんなんだったかな?っていう違和感を感じながらも、アルバムの至る所にデーモン・アルバーンのエッセンスは確かに感じられる作品。フィーチャーされているアーティスト達も、Gorillazのイメージを崩すほどのビッグ・ネームはおらず、そこを引っ張ってくるか〜というようなダーティさ。元はデーモンの単なるサイドプロジェクトだったはずが、時代とともに随分と大きな意味がついてきてしまったような気もしないでもない。しかしながら、現在デーモンが最も意欲的で、評価もされているのがこのGorillazなのは間違いないし、フジで見たライブでも、こりゃBlurのことなんか考えている暇なんかないよなーと納得せざるを得ない内容だった。

 

  • Father John Misty - 「Pure Comedy」

極シンプルに歌声が大いに響き渡るアルバムで、所謂“歌モノ”に分類される音楽であるが、それとは対照的に歌っている内容はどこまでもアイロニカルの視点が貫かれている。Ballad of The Dying Manなんて曲名からしてちょっと一線を画したとこらから物事を見ている人だと言うのが分かるだろう。しかしアルバムを聴いてみれば、どこか雲隠れしていて素性が見えないFather John MistyことJoshua Tillmanのパーソナルな一面を垣間見ることができる瞬間に出会えるのではないか。

 

  • Joey Bada$$ - 「ALL-AMERIKKKAN BADA$$」

今のhip-hopの主流はMigos、Futureに代表されるようなアメリカ南部のトラップであるのは間違いない。そんなメインストリームの流れとは、少し距離を置いたこのオールドスクール寄りな感じは、少し真面目な印象さえ受けるが、今作はそんな時流にも一石投じることができるほどの力強さがある。若干22歳にしてこのカリスマ感…。

 

  • tricot - 「3」

tricot最新作にして最高傑作。全部の曲がコンパクトに仕上げられていて、tricotらしさとtricotの真骨頂も示した作品。

 

  • Lorde - 「Melodrama」

世界的スターになった彼女の、よりパーソナルな部分を表現した作品。風通しの良いアンセムになり得るような曲も数多く収録されているが、Liabilityのような自分の内面・失恋を余すところなく表現した曲が印象的に響く。Lordeを見ていると、普段の発言・ステージ上での振る舞い、全て嘘はない・彼女の全てなんだと感じる。今作は本当に素晴らしいけど、今後もっとすごい作品を作るに違いないと思わせてくれる。

 

突然のストリーミング開始。現行のポップ・シーン最前線を見て、意識的にやったのは間違いない。今年最大級の衝撃だったかもしれない。内容もちょっとずつ変わって行った。今作のモデルはカニエ・ウェストだったり、ドレイクだったりしたのかな。サニーデイ・サービスがこんなに振る舞いをするなんて思わなかったよね。

 

Phoenixはいつも外さない。今作はよりダンサンブルに、そして南国を思わせるようなチルさ加減。他人に素敵な音楽を薦めるならPhoenixが安定かもって思ってます。

 

満を持してのMura Masaの1stアルバム。無機質でクールなビートを刻みながらもキャッチーなメロディが彼の特徴。彼のライブをみたのは昨年のフジロックの深夜のレッドマーキー。当時は彼の音楽の乗り方がイマイチよく分からなかったけど、その後海外フェスの映像などを観るとこれが現行の音楽シーンのど真ん中なんだと感じさせられるほどの大盛況ぶり。A$AP RockyをフィーチャーしたLove$ickは去年から今年にかけて最も聞いた曲です。

 

Arcade Fireをはじめとする他のUSインディーの雄たちは、各メディアから良い評価を得られなかったものの、このLCD Soundsystemの復帰作は大いに高評価を得た。間違いなくファンの期待に答えたし、LCDしかできないことをやっているから。作品の完成度は圧倒的に高いものの、新たな概念に挑戦したArcade Fireの姿勢の方が個人的には好感が持てたということで、トップ10からは漏れました。

 

  • Ruby Francis - 「Traffic Lights」

Hearte Rateが最初っから最高!バックグラウンドが見える。James Blakeとかも好きで、音の空間を楽しんでる感じが良い。今後もっと洗練されていって良くなっていくと思う!

 

  • GLIM SPANKY - 「Bizzare Carnival」

グリム流Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Bandここにあり!といった感じの意欲作。Templesが大好きだし、サイケに傾倒しているのも知っていたけど、ここまで思い切りやるとは思わなかった。一曲目のTHE WALLからこのアルバムの凄みを予感させるには十分だった。今作みたいな振り切った作品が商業的にも評価されたのは、個人的にも印象的でした。

 

  • King Krule - 「The OOZ」

Dum Surferを初めて聞いたときにビビッときて、この若い才能にときめいた。歪な印象を常に纏わせながらも、その不均衡にゾクゾクしてしまう。この感じ英国だからこそ出せるんじゃないかな〜。Brit School出身の期待のホープ。この世代本当に優秀だし、自分と同世代だからがっつり応援していきたい!

 

  • Beck - 「Colors」

前作「Morning Phase」とは打って変わってかなり“ポップ”色が強い作品。曲自体は、前作と並行して作られていたらしいが発表は随分と遅くなりました。(当初は2016年10月に出る予定だった。)

ほとんどの曲がシングルカットできるような曲で構成されていて、多くが現行のシーンを意識しているものなんだけど、その全て“ベック流”のポップ・ミュージックとして昇華されている。Wowのトラップ的なものから、軽やかで純度の高いゆるファンクなUp All Nightなど、ぜひ生で聴きたいと思わせてくれる曲ばかり。

 

  • Kelela

アンビエントな雰囲気を纏う次世代のR&Bニューアイコンとして注目を集めるKelela。個人的には、上記のGorillazのHumanzでダニー・ブラウンと共にフィーチャーされたSubmissionで彼女の歌声に魅了されて知ったのだが、そこから半年ほど経って発売された今作がまた素晴らしい。アップテンポな曲はなく、BPMもゆったりの曲が多いので多少の聴きづらさを感じる人がいるかもしれないが、一度感覚をつかむことが出来ればどっぷりと彼女の世界に浸ることができるだろう。ミニマムながら音の広がりは凄い。

 

続いてトップテン!

 

第10位 Dirty Projectors - 「Dirty Projectors

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インディーロックを象徴するバンドが現在と向き合う

 

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第9位 Rat Boy - 「SCUM」

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あっけらかんで良い 

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第8位 Kehlani - 「SweetSexySavage」

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2017年の個人的MVPはこの新たなR&BディーヴァKehlaniに捧げたいと思う。

名前がメジャー・シーンに広く知れ渡ったのは、昨年発表されたスーサイド・スクワットのGangstaあたり。自分もおおよそそのタイミングで彼女の存在を知ったのだが、年が明けてG-EasyとコラボしたワイスピのGood Lifeによってここ日本での知名度も爆発的に上がったのではないかと思う。

黒人、白人に加え様々な 

22歳にして実に起伏の激しい人生

今最もエキサイティングな新世代歌姫

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第7位 Wolf Alice - 「Vision Of A Life」

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進化と深化

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第6位 The xx - 「I See You」

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新たに手に入れた見通しの良い地平線

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第5位 Calvin Harris - 「Funk Wav Bounces Vol. 1」

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手のひら返しで褒めました

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第4位 Marika Hackman - 「I'm Not Your Man」

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伸び伸びとしたオルタナ女子へ

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第3位 St. Vincent - 「MASSEDUCTION」

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相変わらずに刺激的 

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第2位 Loyle Carner - 「Yesterday's Gone」

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サウスロンドン出身のラッパー。メロウであったり、ジャズっ気のあるトラックにロイル・カーナーのクールなラップが乗っかった超かっこいい一枚。グライムが流行している現在のUKシーンの流れとは距離を置いたサウンドだけど、彼もグライム・ラッパー達と共に今後のUKラップ・シーンを盛り上げる人物になっていくのは想像に難しくない。

アルバムジャケットも人柄、父親の歌をサンプリング

 

伝わってくる知性と心優しさ

King Kruleとも同級生だったらしい

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第1位 Lana Del Rey - 「Lust For Life」

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聴けば聴くほど魅力に引き込まれる 

 

全てを取り込みラナ・デル・レイ 

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P.S.

今回は2017年の内に記事は完成できませんでした。

2018年になった現在、今回のランキングにやっぱ入れたかったな〜と思う作品はN.E.R.D、Tyler, the CreatorやSabrina Claudioちゃんのアルバムです。