My Own Life Is Rubbish

主にライブレビューや音楽のことについてのブログです。

MY ALBUM OF THE YEAR 2018

2018年の自分が聴いていた音楽を振り返る。一昨年ぐらいまでは気に入ったアルバムを10枚挙げたらその年の自分が聴いていた音楽を振り返るには十分だと思えていた。ただ去年ぐらいから、それだけだと非常に物足りなくなってきたという心境の変化があった。

それってどう考えてもストリーミング・カルチャーが自分の中に染み込んできたという理由以外に見当たらない。Apple Musicが日本にローンチされた2015年7月から早3年、当時はめちゃくちゃストリーミング・サービスに消極的だった自分。

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好きなアーティストのCDをいちいち買っていた当時の自分はとてつもなく自分が否定された気分になっていた。余計なことをしなくて良いのに。。。と思っていた。でもそれって結局、他人と比べて音楽にお金をかけている自分に優位性を見出しているだけで、本当にしょうもない考えだって思えるようになった。今では世界中の人がDrake聴けば良いと思っている。世界のポップ・スターを受容できない方が問題だ!って思えるようになった。(変わったな自分。)

 

SpotifyApple Musicが世界の主流になってきて、これからの時代はプレイリスト文化になっていくかもしれない。海外、特にアメリカでは既にそんな感じになっている気がする。日本だと星野源・米津玄師みたいな現代のスーパー・スターがストリーミングを解禁していないから、そうはならないのかもしれないけど。今年Mr. Childrenがストリーミングを解禁したのが話題になった。現状の日本の音楽業界のストリーミング・サービスに対する考え方っていうのが非常に慎重で、売れ切ったアーティストが新たなファン層を獲得するための最後の最後の切り札って感じがする。成熟期を迎えつつあるRADWIMPSとかもストリーミング解禁はベストアルバムのみという具合。

環境が人を変えるように、音楽の聴き方のフォーマットの変化って音楽自体を変える可能性を秘めている。ストリーミングが主流になってからイントロがやけに短くなったとか、やけに収録曲が多いアルバムが増えたりとか。良いか悪いかは置いといて、自分は変化が好きな人間なので、個人的には現在の日本の音楽業界って変化に対応するのが遅いな〜と感じている。でもねシティ・ポップを始めとする若いアーティストたちはみんなサブスク解禁してるわよ〜という明るい兆しも勝手に感じている。歴の長いアーティストだって、曽我部さんとかめちゃくちゃ意欲的ですごいんだぞ。

 

凄い個人的な話になるけど、自分の過去を振り返ってみると、小学生・中学生のときは、テレビを見ていて流れるCMソング・ドラマの主題歌を1枚のCDにまとめてクラスの子に配っているような子だった。そんな自分からすると、Spotifyで事あるごとにプレイリストを作っているのって、原点回帰しているような気分になっているの。レペゼン・ミーハーな自分!!!

 

そろそろ2018年の自分の音楽体験を振り返りたいと思います。昨年アメリカでHip-hop/R&Bが初めて最も売れているジャンルとなったが、今年になってやっとHip-hopが自分の好きな音楽ジャンルとして落としこめるようになった実感がある。以前からKanye Westとかはちょくちょく聴いていたけれど、Kendrick Lamarの『To Pimp A Butterfly』をきっかけに徐々にHip-hopの抵抗感をなくしていった自分からすると、今年になって初めて今まで好きだったRock、Electronicと同列になった気がする。というわけでこれから挙げる曲に随分ラップ・ミュージックが増えました。(でもどうしたって自分はヘッズにはならない気もしている。)

あともう一つ、先ほど名前を挙げていたDrake。例に漏れず自分もめちゃくちゃ聴いていたんだけど、実際聴いているのはIn My Feelings, God's Plan, Nice For Whatだけなので、『Scorpion』をアルバムとして評価はできない!っていう実情もあったりして。25曲も多くて聴いていられない!という。当然My Album Of The Year 2018の中にDrakeは含まれていないわけだけど、それだと今年の自分のフィーリングを伝えられないので、今年はSpotifyのプレイリストのリンクを貼ることにします。

 

open.spotify.com

 

プレイリストにまとめてみると、世間的に話題になったこと+フェスやライブで自分が体験したことがMIXされて、「あぁ、こんな一年だったな。」という実感が得られる。

今年の初頭はプロモーション来日も相まってカミラ・カベロのイメージが強い。Havana自体は昨年の曲だけど今年を代表する曲の一つと言えると思う。当時やっていたバイト先のおばさんも彼女のことを知っていたし、Uptown Funk, Shape of You以来ぐらいの洋楽のヒット曲だったんじゃないかな。海外ではTaylor Swiftのスタジアム・ツアーにCharli XCXと共に帯同していたのだけど、なぜ日本にはカミラ・カベロは来なかったのだろう〜。

 

春先にかけては自分がずっと好きなジャック・ホワイトやジュリアン・カサブランカスのVoidzの新作などが続いて、Rockの方への自分が揺り戻しが起こるかな?と少し期待もしていたけど、作品はまずまずという感じでそうはならなかったな〜という思いも。そんな中Arctic Monkeysは流石でした!

 

今年は何と言ってもフェスのブッキングが素晴らしかった!フジにはKendrick Lamar、サマソニはChance The Rapperという今をときめくラッパーが出演。それぞれ大きなインパクトを残した。今まではどうしても“ロック”・フェスという一面が強かった音楽フェスが完全に新時代に突入していくのを体感したような気分。

ただ他のラッパーと比べて、Kendrick LamarもChance The Rapperもどこかアウトローというか意識が高い系というか責任感が強くてスーパー・マン過ぎる感じがしていて。MigosやA$AP Rockyみたいな自分がクールでいることが一番大事!みたいな人たちの来日公演は結局ポシャんしちゃったなという振り返り方もできる。まだまだHip-hopが日本に根付くには大きなハードルがある気がする。

それはそうと、来年のスーパー・マン枠としてはChildish Gambinoの来日を期待したい。This Is Americaもふわっと流行りかけたしね。

 

今年の個人的MVPはClairoを挙げたいと思う。昨年下記のPretty GirlのMVを公開するやいなやに大反響を呼び大ヒット。あっけらかんでキュートでローファイでとにかく最高。彼女まだ二十歳で、けだるそうでちょっぴり生意気感もあって良い。今年EPも出し、来年以降世界中のフェスに出演したりして今後も人気は拡大していくような気がする。要注目!(追記:2018/12/21 初来日公演が発表。うぅ〜行きたい行けない😢)

youtu.be

 

以上ハイパーメディアクリエイターヒラショーが送る2018年の音楽の雑感でした。

ここからが本題です。ALBUM OF THE YEAR 2018。散々プレイリスト文化だ!なんて言ってたけど、印象の残ったアルバムはそれなりにあるわけです。俺の伝説ベストテン!レッツゴー!

 

 

第10位 MGMT - 『Little Dark Age』

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カムバック!みんなが大好きなMGMT

Netflixの『Stranger Things』を見ていたときに無性にMGMTのKidsが聴きたくなったことがあった。一度聴いたら忘れられないあのシンセサイザーのリフや作品の時代背景、子供達の頑張るシーンと曲が重なったからであろうか。そんなKidsも収録されている『Oracular Spectacular』から10年、今作はMGMTも一周回ってみんなが好きなMGMT像を自分たちとしても好きになることができたんじゃないかな。

彼らにとっては、1stアルバムが爆発的に売れてしまったことで、難しい時間を過ごしているという感覚が強かったのではないかと予想できる。バンドのアイデンティティーとは異なる曲がヒットしまったことで、ファンが期待するバンド像と自分たちがやりたい音楽像のミスマッチが起こってしまっていたことは正直否めない。(初期の頃なんかKidsだけカラオケver. でライブをやっていたというひねくれ具合w)

そういう事情を知っているからこそ、今作のファンとの繋がりを求めたような作品はなんだか感慨深い。She works Out Too Muchは今年よく再生した曲の一つ。近未来って感じがして良い。断腸の、断腸の想いでフジロックのライブを諦めたので一刻もは早く再来日してね。

 

 

第9位 Snail Mail - 『Lush
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聴けば聴くほどに深く染み入る2018年No.1オルタナアルバム。

シンガーソングライターSnail Mailことリンジー・ジョーダンはアルバム発表当時はまだ18歳!とその若さも要因となって、90'sオルタナファンから異様に持ち上げられている感も若干あるのだけど、アルバムを最後までじっくりと聴くとその理由もなんとなく分かるような気がしてくる。

正直言うと、このアルバムが発売された当初、話題になっていたから聴いたけれども、自分には良さが分からないなと一度は切り捨てたアルバムだった。すっかり自分はメイン・ストリームを追っかけるようになっていたし、一部のインディー・ロック好きが騒いでいるだけでしょ?みたいなテンションだったと記憶している。そうだったはずなのに、今作としっかりと向き合うきっかけをくれたのは紛れもなく朝霧JAM'18の出演に他ならない。最初はわずかな義務感を感じながら聴いていたけれども、何度も聴いていくうちに本当に好きな作品に変わっていった。ローファイなサウンドをリンジーの伸びやかな声が突き抜けていく感じが心地よい。この経験を通じて、やっぱりライブとかフェスとか、ちゃんと現場に行かないと見過ごしてしまう現象ってあるんだろうな〜ということを再確認できたかも。

また実際に彼女のライブを生で見たり、Instagramから感じるリンジー・ジョーダンは非常に強かであるということ。オタク男子を従えてツアーを回る姿だとか、ライブのアンコール・パートで一人ステージに立ち、堂々とカバー曲を演ってみせたりする姿を見てそう思った。女の子って本当に強いって思った。全然音楽性のことについては語っていないけれど、確かにこの作品には2018年を生きる10代の女の子のリアルがあるって感じることができたの!だからベスト10には入れたくなった!

 

 

第8位 J. Cole - 『KOD』
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現在ケンドリック・ラマーと並んで最高にクールで知的なラッパーJ. Coleが送る多方面へ警鐘を鳴らす渋カッコイイ5thアルバム

このJ. Coleというラッパー、英米のフェスではヘッドライナー、20,000規模のアリーナツアーを行なっているという非常に有名な人物なのですが、恥ずかしながら今回のアルバムを通じて初めてその存在を知りました。

タイトルの『KOD』は、“Kids On Drugs”, “King Overdosed”, “Kill Our Demons”という3通りの意味が込められているそうで、アメリカで最も人気な音楽ジャンルとなったHip-hopの世界においてはびこるドラッグのイシュー、SNSの普及により露わに人間の危うさ・異様さを、痛烈な批判とは言わずとも、俯瞰的な視線を持ってラップしている。30代も中盤に差し掛かるという、ラッパーとしては決して若くない年齢になるにつれ、自分自身の立場を理解した上で多少なりとも責任感というのを感じていたのかもしれない。

このように、しっかりと作品を調べていくと非常にメッセージ性の強い社会的な作品だとも感じるのだが、惹かれた理由としては、そのトラックのかっこよさだったり、ラップスキルの高さにエキサイトさせられたという単純な理由に過ぎない。表題曲のKODはこの一年本当によく聴いた。今回のアルバムをきっかけに世界中に多くいるJ. Coleのファンの一員になったんだという、個人的には彼との馴れ初めの作品となるだろう。

 

 

第7位 Ariana Grande - 『Sweetener』
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ポップ・スターとして一皮も二皮もむけたアリアナ・グランデの強い決意

自分が半分有名人を観たいな!という気分でライブを観たサマーソニック2015から3年。3年というと、もっと昔のことのようにも感じるし、わずか3年という気もする。この間に彼女の人生を大きく変えてしまった出来事があったこと。このことは今作を語る上でも外すことができないトピックの一つだろう。

2017年5月マンチェスターで起きた悲劇について考えると現在も胸が痛くなる。ライブによく行く者として、公演終了後というタイミングはなんともおぞましいし、彼女のメインのファン層を考えると尚更だ。彼女の気持ちを考えると、その後の活動を全て白紙にしたとしても彼女を責める人は誰一人いないだろう。それぐらい大きな出来事だった。しかし、彼女は直後からアクションを続けた。2週間足らずで、マンチェスターでのチャリティ・コンサート『One Love Manchester』を実現させ、テロに屈しない強い姿勢を示し続けた。事件後初のアルバム『Sweetener』はこれまでリリースされたどの作品よりも、“愛”で溢れた作品となっている。

全15曲中7曲がPharrell Williamsのプロデュースと、今作はサウンド面でも過去作とは大きな変化があった。何と言っても、ファレル・プロデュースというのが個人的に作品にのめりこむ直接的なきっかけになったと思う。N.E.R.DのLemonの延長線上にあるようなthe light is coming (feat. Nicki Minaj)、BPM80のベッドルーム・ポップとしても最適なR.E.M、表題曲でもあり最も口ずさみたくなるSweetener。ファレル以外にも流石はMax Martin Popとも言うべき、今作を作るにあたって根底にあるであろう思いを歌ったno tears left to cry。「流す涙などもうない」というのはあまりにも強く響いた。

 

アルバム発表後、さらに大きな話題となったのが、シングル曲のthank u, next。色んな過去があったけど、次に進まなきゃ。というとてもあっけらからんでシンプルな強いメッセージ。最近行き過ぎたMeTooなんかもあるけれども、彼女の場合はとても自然体。フェミを前面に押し出すようなことはしないし、女性としてフラットな立場で思いを表現しているように感じる。作品以外に逐一メンションも重要視される現代社会でとても上手に立ち回っているアーティストだと思います。

 

 

第6位 The 1975 - 『A Brief Inquiry Into Online Relationships』f:id:shonvers_inc:20181204054522p:image

分かるよ。インディー・ロックが好きなやつのテンションってこうだよな。

前作に大分ぶちのめされたがあるので、The 1975のポテンシャルを考えれば、今作の批評的成功はまあ、そうでしょ!という実感を持つことができる。『OK Computer』のような3rdアルバムを作りたいと意気込んで作られた『A Brief Inquiry Into Online Relationships』。毎度のことの長い、いじられかねないタイトルを付けるのには笑っちゃうけど、本当にクオリティが高い。Radioheadを例に出すところとか、2010年代を代表するイギリスのロックバンドになるという発言からも、ちゃんとUK音楽史の系譜を意識していることが分かる。非常にスマートなバンドというのはもう改めて確認することでもないのかもしれない。

エレクトロとアコースティックの要素が混じり合い、かつ全体のテンション的には若干暗い。でも暗くなり過ぎないというのが絶妙なバランス。Sincerity Is Scaryみたいな全方位に向けたポップ・ソングを中盤に配置するのも憎たらしい。ちなみにこの曲のMVが今年一番かもしれないくらいのフェイバリット。フロントマンのMatthew Healryの人物像が分かるような気がする素敵なMV。

The 1975 - Sincerity Is Scary (Official Video) - YouTube

来年には早くも4thアルバムのリリースが発表されており、今作とは全く違った装いのアルバムになるらしい。どのような感じで我々の期待を裏切ってくれるのか早くも楽しみ!

 

 

第5位 Young Fathers - 『Cocoa Sugar』
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唯一無二の不穏で刺激的なサウンド

スコットランドエディンバラ出身のヒップホップ・クルーYoung Fathersの3rdアルバム。昨年のマッシヴ・アタックのサポートで初来日を果たしており、個人的にはかなりの傑作だと思ったけど、意外と世間では騒がれなかったなという印象。

Young Fathersのことをヒップホップ・クルーと表現する違和感があって、実際にはバンドっぽい感じもあるし、ポップ・グループ的要素?もあったりする。基本的には3MCスタイルなのかな。

彼らの曲はいつもコンパクトで、今作でも曲のほとんどが3分くらいの尺なので、14曲あってもアルバム自体は40分で終わってしまう。その中にエモーショナルな情感がぎっしりと詰め込まれている。音楽的にもゴスペルやアフロ・ビートなど様々な要素がインクルードされていて非常にジャンルレスなサウンド。今作において特に影響源はないとインタビューなどで発言している通り、なにか一つにインスパイヤーされた作品には思えないし、彼らに元々インプットされている情報がとてつもないんだろうな。

リスナーから見ると、Young Fathersはかなりアングラなグループとして捉えてしまうんだけど、彼らが常に意識しているのはポップ・ミュージックの領域。そこといつも戦っているからこそ、彼らの音楽はいつもエッジィでエキサイティングなんだと思う。

ライブ・パフォーマンスもどうやら凄そうで、フジロックサマソニなどの出演があれば間違いなく大きな話題をさらっていくような気がする。ライブが見たいな!

 

 

第4位 Disclosure - 『Ultimatum + Moonlight (EP)』
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活動休止から大復活!今年No.1のダンス・ミュージック!

本来ならば、ALBUM OF THE YEARなので、アルバムのみを選定しなければならないんだけど、今年シェアされたDisclosureのシングルがどれも最高だったのでズバリランクイン!!!(一応Ultimatum以降のシングルがMoonlight EPとしてアナログ発売されたのでマイルールを適用してランクインは可能😆)

Ultimatumを初めて聴いたときを感想としては、これほど分かりやすいダンス・ミュージックのカタルシスを表現していて、かつ一筋縄ではいかない、今まで聞いたことがないようなサウンドデザインが成されている曲はないなという。これはマリ出身の女性アーティストFatoumata Diawaraのフィーチャーがバシッと決まっているからであろう。近年英国を中心にアフロ・ビートを取り入れたサウンドに流行りの兆しが見えているけれど、Ultimatumはそういった流れも汲んだスーパー・エレクトロ・ミューーージック!来年発売されるであろうDisclosureの3rdアルバムが楽しみでならない。

これは予想だけれど、Ultimatum後にリリースされたシングル群はアルバムには含まれないんじゃないかな。(たぶんアフロ・ビート寄りなテイストで行くはず。)でもこれらが本当に大好きなの。ディープ・ハウスな趣を持っていて、尚且つキャッチーなサンプリング使い。今年はDisclosureの曲でたくさん踊ったな。

 

 

第3位 Kali Uchis - 『Isolation』
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Kali Uchisに夢うつつ😴

コロンビア出身の、現在はLAに拠点を置くR&Bシンガー。昨年からずっと注目していたが、今年満を持してのメジャー1stアルバムがリリース。今年初めにリリースされたAfter The Stormが今年のベストシングル!というくらいお気に入りだったので、めちゃくちゃ期待度は高かったのだけれど、それを十二分に応える名作だった!

本作のプロデュースには今を時めくSteve LacyやKevin Parker、Damon Albarnなど名だたるメンバーが加わっており、そのため全体的にインディー・ロックの影響が強く出ている。元々のドリーミーで心地良い歌声にプラスして、音像が旧作よりもタイトに、そしてサイケ感が強くなったように感じる。音楽性の幅が広がったことにより、R&Bリスナー以外にもRockリスナーにとっても耳馴染みが良い作品となっている。

またKali Uchisはビジュアルもインパクトが強いので、より一層印象に残りやすいかもしれない。フジで見た彼女はまるでマーメイドのようでしたよ〜🧜‍♀️

 

 

第2位 A$AP Rocky - 『TESTING』
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最高にクールなラッパーが追い求めたクール!来日公演キャンセルも納得?😭の3rdアルバム

A$AP Rockyを今更説明するまでもないが、現在最もカッコよく、そしてセンスの良いラッパーと言って間違いないだろう。ラッパーとしての名声以外にも、ファッション業界においても大きな存在感を持っており、彼が人前に顔を表すときは音楽活動よりも、アパレル関係の方が多いんじゃないかというくらいである。もちろんアーティストとしての評価も高く、Hip-hopの枠に捉われない音楽を追求しているところにも個人的に強く惹かれる。1stアルバムにしたって、SkrillexとFlorence Welchを引っ張ってくるセンスは現在以上に当時は新鮮だったに違いない。またRockyはツアーもほとんどせず、ライブ活動は年に数回程度のフェス出演とクラブに突然現れて数曲だけやるといった具合。彼は自分のアーティストとしての価値を分かっているだろうし、それを消費もさせないというスタンスでやっているんだろう。とにかく他の誰でもない、特別な位置にいるラッパーであることは伝わっただろうか。

そんな待望のA$AP Rockyの新作が素晴らしい。『TESTING』には、FKA TwigsやSkeptaなど英国のアーティストとのコラボレーション曲が収録されており、前述したようなセンスは現在でも健在であることが伺える。

また今作の大きなインスピレーションの一つとして、Frank Oceanの『Blonde』が挙げられる。A$AP Foreverの一節に「we kiss to Frank Ocean and Blonde」とあり、MVでもBlondeのポスターが部屋に飾られている。Rockyも2年前自分たちと同じように『Blonde』に衝撃を受けた一人なんだろうな〜。『TESTING』も全体的にまとっているアンビエントな感じは『Blonde』と通ずるところがあるような気もするし、確実に『Blonde』の2年後の世界にいる気がする。Frank OceanがフィーチャーされたPurityがラストトラックとして収録されているのも必然なのかもしれない。

Rockyが全体をプロデュースしているだけあって、作品としての統一感がしっかりとコントロールされているし、そんな中でもPraise The Lord (Da Shine)みたいなヒット曲もちゃんと残しているのは流石。世間的にはTravis Scottの『ASTROWORLD』の方が評価が高いけど、個人的なNo.1 Hip-hopアルバムはA$AP Rockyの『TESTING』で間違い無いです。

 

 

第1位 Arctic Monkeys - 『Tranquility Hotel & Casino』f:id:shonvers_inc:20181204054527j:image
Arctic Monkeysがたどり着いた境地。あまりにも甘美なコンセプチュアル・アルバム

冒頭のStar Treamentを聴いた瞬間、恋に落ちてしまったかのような感覚に襲われた。一瞬でこの曲の虜になってしまったことが強く記憶に残っている。優しいピアノのイントロから「I just wanted to be one of The Strokes___Now look at the mess you made me make___」の一節。The Strokesに夢中になっていたバンドの初期を懐かしんでいるのかどうかは分からないけど、それはもう完全に過去のことであると表明している気がする。確かに久しくArctic Monkeysのアルバムには当時のガレージ・ロックのテイストの曲は入っていない。今後もおそらくないだろう。I Bet You Look Good On The Dancefloorはライブでは随分とミドルテンポで演奏されるようになった。

しかしArctic Monkeysほど、順調な成長曲線を描いているバンドもなかなかいないなと思う。鮮烈なデビューを飾った1st、よりダークでソリッドになった2nd、サウンドが重厚化した3rd、一気に大人びてみた感がある4thを経て、前作5th『AM』は最高傑作と評価された。R&B・Hip-hopのエッセンスを取り入れ、コーラスを多用したArctic Monkeys流の至極のロック・アルバム。6thが出るまでに5年の歳月を費やしたのは、個人活動を活発に行っていたこともあるだろうけど、“『AM』の次”に慎重にならざるを得ない状況にもあったからだと予想できる。AM2を作ることも、一時は考えたようだけど、彼らはそれを選ばなかった。

6thアルバム『Tranquility Hotel & Casino』(Casinoの発音はカジノじゃなくてカッシーノ🌕)は、月面にあるとされる架空のホテルをモチーフとした、ギター・リフが排除された過去作と似ても似つかない情緒漂うロマンティックな作品。事前情報が完全に遮断されたのも上手かった。リリース当日度肝を抜かれましたもの。確実にArctic Monkeysの新たな側面を覗かせた作品であるのは間違いないのだけれど、聴き進めていけばアクモンらしさが随所に出てくるし、とうとうここまで成長したかと唸ってしまう。高校時代にハマったバンドの中で常にワクワクした目線で追い続けることができる数少ないバンドです。

前回の来日はサマソニだったけれども、今回のような作風ならば、(キャパ的に少なすぎるかもだけど、)国際フォーラムとか、それこそフジロックなどで来日を願いたい。夜空の下でStar Treatment聴いたら泣いちゃう。

Arctic Monkeys: Star Treatment (TRNSMT 2018) - YouTube

 

 

 

いかがでしたでしょうか。私のアルバム・オブ・ジ・イヤー。例年だとなんとなく傾向がNMEと似がちというのがあるんだけど、今年もそうなのかな。以前までの自分ならアリアナ・グランデをランキングに入れるのか信じられないと思うんだろうけど、現在はもうメジャーとインディーは切っても切り離せない時代に突入してると思うので、これも正しいんだろうなと思っています。自分の音楽の趣味は見ての通り全然マニアックじゃないと思うし、音楽の趣味が凝り固まっていない人は気になった作品があったらぜひ聴いてみて欲しいなと思う所存です。

あと最近よく思うことが、実は自分は全然音楽が好きな人間ではないのではないかということ。というよりもっとその先にあるカルチャー的側面を追いかけるのが好きだという。Spotifyのチャートとか定期的に確認してふむふむ🤔としていたい性格なので。仕組みの話とか大好き。笑

 

以下まとめ

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ちゃんと書くと結構しんどいので来年もしやるとしたらトップ5とかにしよう。それではよいお年を!